『日々蝶々』あらすじ徹底解説|静かなふたりの“声にならない恋”が動き出す
作品概要(まずはサクッと)
『日々蝶々』は、森下suuによる学園ラブ×スライス・オブ・ライフ。集英社『マーガレット』で
2012年〜2015年に連載され、全12巻で完結した人気作です。
主人公は“高嶺の花”と呼ばれるほどの美少女なのに極度に口数が少ない
柴石すいれん。惹かれ合う相手は、女子が苦手な硬派な空手男子
川澄泰一。「静かなふたり」が、ことばの少なさごと少しずつ距離を縮めていく過程を、
余白の多いコマ運びと繊細な表情で描くのが本作の真骨頂です。
📖 まずは試し読み・1巻へ:
Renta! 1巻
/
Renta! 最終巻
/
ebookjapan 1巻
/
ebookjapan 12巻
/
楽天ブックス 1巻(電子)
/
楽天ブックス 12巻(電子)
※配信状況(試し読み増量/価格など)は変動します。最新情報は各ストアでご確認ください。
この作品の入口(ここから読みはじめる人へ)
- やさしい線と余白で“沈黙”すらドラマに変わる。
- 派手な事件は少なめ。視線・間・一言の重みを味わうタイプ。
- 王道の“すれ違い→歩み寄り”が、台詞に依存しない関係描写で新鮮に響く。
あらすじ(ネタバレなし)
男女の視線を一身に集めてしまうほどの美少女・柴石すいれん。騒がれ続けた過去がトラウマとなり、
人前では言葉が出ない。共学高校で出会ったのは、女子が苦手で敬語を崩さない空手男子・川澄泰一。
彼だけはすいれんを“特別な偶像”として扱わない。
静かな教室、賑やかな廊下、文化祭の喧騒。ふたりは視線と小さな行動だけで相手を知ろうとし、少しずつ“ことば”の練習をしていく。
周囲には、幼なじみの清水あや、ムードメーカーの高屋良祐、先輩の新川小春、
元気な工藤ゆり、カリスマ先輩後平(あとひら)らがいて、ふたりの距離を揺らし、また後押しもしていく——そんな“ひらり、ふわり”の恋物語。
主要キャラクター(整理して理解度アップ)
- 柴石すいれん…学校の“高嶺の花”。口数が極端に少ないが、心の中はよく動く。川澄が相手だと、勇気を出して話そうとする。
- 川澄泰一…空手一筋の寡黙男子。女子が苦手で敬語。すいれんに対して嬉しさと戸惑いが同居。
- 清水あや…すいれんの幼なじみ。すいれんの“通訳”役もこなす親友ポジ。
- 高屋良祐…空手仲間のムードメーカー。場をほぐし、ふたりの“沈黙”に酸素を入れる。
- 新川小春…美少女の先輩。最初は川澄に好意、のちに後平へ。
- 工藤ゆり…明るくフレンドリー。しばしば“恋の劇場”の司会進行。
- 後平(あとひら)…圧の強い人気者先輩。物語を大きく揺らす存在。
見どころ(推しポイント)
- “声にならない”会話劇:目線・手の位置・歩幅。台詞が少ないからこそ絵と間で語る。
- 周辺キャラの“風向き”:小春や後平が起こす風が、ふたりの姿勢を試しつつ成熟させる。
- やさしい余白のデザイン:沈黙のコマで心拍数を上げる少女漫画の美学。
- 番外編の満足度:完結巻はアフターや別視点が充実。買い切り感が高い。
- “丁寧さ”が武器:一足飛びの劇的展開ではなく、微差の積み重ねで読者を泣かせるタイプ。
ネタバレあり:全巻ダイジェスト完全版(購入前に“どこまで進むか”知りたい人へ)
▼ ※ここから結末まで触れます(開閉可)
0)読切→連載へ(プロローグ)
きっかけは『マーガレット』の読切掲載(のちに本編へ発展)。“ほとんど喋らない美少女”柴石すいれんと、 “女子が苦手な空手男子”川澄泰一が出会うコンセプトは読切から完成されており、連載では クラス替え/行事/部活を通じて“視線と言外の会話”が積み重なっていく土台が整う。
1)出会い〜文化祭:静かな二人の“はじめの一歩”(1〜4巻)
すいれんは共学の喧騒に疲弊しがちだが、川澄だけが距離を詰めないことで安心できる相手に。 目が合っても騒がない、必要な時だけ声をかける——そんな“静けさの礼儀”に心が傾く。遠足や放課後の小さな出来事が “共同の思い出”として堆積し、文化祭でついに「一緒に回ろう」という勇気の一手へ。 しかし人目の圧に怯えた川澄は反射的に関係を否定してしまい、ふたりは初めて同時に傷つく。 それでも、翌日も視線は離れない——これが二人の“揺れの基準線”になる。
2)風が吹く:小春と後平、そして友だちの役割(5〜7巻)
先輩の新川小春、カリスマの後平(あとひら)が立て続けに登場し、 “恋はふたりで完結しない”ことを教えてくる。小春は好意を隠して距離を保とうとし、後平は直球で揺さぶる。 ふたりの“風”は、すいれんに「言葉の練習」を、川澄に「並び立つ覚悟」を促す。 クラスメイトの清水あやや工藤ゆり、空手仲間の高屋良祐は、 ときに空気を和らげる“酸素”として機能。イベント(試合、季節行事)ごとに、 「黙っていても伝わる」から「少しは言う」へと、言語化の比率が増えていく。
3)加速と痛み:正面から“好き”を定義する(8〜10巻)
後平の告白が物語の温度を一気に上げる。すいれんは“ごめん”すらうまく言えないほど動揺し、 自分の内側と向き合う。川澄は保護的な態度から、恋人として隣に立ち続ける覚悟へ。 互いの「嬉しい」「寂しい」を短い言葉で交換できるようになり、 “沈黙がふたりの言語”だった初期から、“沈黙と短い言葉の二言語”へアップデートされる。 それでも人目の圧・誤解・自己評価の低さは波のように押し寄せ、揺れは続く。
4)結びと“その後”:静かな熱のピーク(11〜12巻)
ふたりは恋人として互いを選ぶ地点に到達。最終話(全75話)の余韻は、
派手な台詞ではなく“確かな並走”の手応えで締めくくられる。
完結巻12巻は“買いの一冊”。本編の締めに加え、未収録だった番外編・読切を一挙収録し、
川澄視点で描く「1話目(裏)」、小春と後平の“大人の恋”「小春日和」、
ゆりの恋「ゆりとだいすけ」、そしてコラボ読切「ひるなかの蝶々」や
企画読み物「俺たちのStarting Over」までフォロー。“本編の先”が見える構成で、
二人だけでなく周囲の人生にも答えをくれる“アフターケア”が充実している。
補遺)音声化:ドラマCD(出会い編/文化祭編)
2014年にドラマCD化。すいれん=花澤香菜さん、川澄=逢坂良太さんほか、 キャスティングが作品の“静かな温度”に合致。収録は「出会い編」「文化祭編」で、本編の核を音で追体験できる。
※巻の区分けや出来事の呼称は読みやすさ重視の要約です。正確な掲載話は単行本をご確認ください。
テーマ/読みどころの深掘り
- 「沈黙の練習」…すいれんは“話せない”のではなく、話すことに傷ついた経験がある。だからこそ小さな勇気の積み重ねが尊い。
- ことば以外のコミュニケーション…手の位置、歩幅、目線。非言語の合図が物語を動かす。
- 恋はふたりで完結しない…周囲の風(小春・後平・友人たち)が、ふたりの“自己理解”を深める。
- “守る”から“並ぶ”へ…川澄の成長軸。相手を庇護するだけではなく、隣に立つ姿勢へ。
読み味ガイド(たのしく読むヒント)
- 余白のコマ=心拍の上がりどころとして受け取ると、静けさが面白くなる。
- イベント回(文化祭・遠足・試合)は“環境音の大きさ”と“ふたりの声の小ささ”の対比に注目。
- 友人視点で読むと、ふたりの沈黙に意味が与えられる瞬間が見えてくる。
どこでハマる? ざっくり巻ガイド(全12巻)
- 序盤(1〜4巻):出会い〜文化祭。“無理に喋らない恋”の新鮮さを実感。
- 中盤(5〜8巻):揺らぎの連続。非言語→言語への移行が始まる。
- 後半(9〜12巻):告白〜結びとアフター。静かな熱が最高潮に。
※巻区分は読みやすさの目安。正確な出来事は単行本を参照。
よくある質問
- Q. 泣ける?
- A. 大きな悲劇ではなく、微差の積み重ねに涙腺がゆるむタイプです。
- Q. 三角関係は重い?
- A. しっかり揺れますが、対話と自己理解で乗り越える“健やかさ”が基調。
- Q. 一気読み向き?
- A. “静かな熱”が得意な人は全巻一気読みの満足度が高いです。イベント回ごとの区切りで少しずつ読むのもおすすめ。
どこで読む?(試し読み&購入リンクまとめ)
- Renta!:
1巻 /
最終巻
- ebookjapan:
1巻 /
12巻
- 楽天ブックス(電子):
1巻(電子)
/ 12巻(電子)
- Amazon(Kindle):
1巻(電子) /
12巻(電子)
- 全巻セット(紙):
漫画全巻ドットコム(1〜12巻)
※表示の内容(試し読み増量/最新巻など)は更新される場合があります。購入前に各ストアでご確認ください。
まとめ
ことばは少ない。でも、視線と間と歩幅で伝わるものがある。『日々蝶々』は、 “静かなふたりの恋”が確かに前へ進む瞬間を、やさしい線と余白で見せてくれる一作。 読み終えるたび、胸の真ん中に温かい余韻が残るはず。